[3] 佐連
「席に着け、もう鐘なってんぞー」
生活指導も兼ねる学年主任の加瀬がいつもの調子で大声をあげた。今日もajidasの上下で決めている。
一クラス30人の一学年6クラス
佐世保という長崎第二の都市では大きなこの中学は、本州からの転勤者を親に持つ子供達も多く在籍している。
正洋もその一人で、生まれはこの佐世保だが、生まれてすぐに神奈川に移住し、小6の時に父親の仕事の関係で佐世保に戻ってきていた。
「それじゃあ、1学期の成績書を配布するから必ずお母さん、お父さんに見てもらうんだぞ」
順番に名前が読み上げられ、正洋の番
「三上、、お前ふざけんなよ」
身長190cm、体重110kの正洋が席を立つとさすがに存在感がある。
小さく見えるA5サイズの成績書の中身を見ずに受け取るとそのまま席に着こうとした。
さっ
金髪頭の洋介が正洋の成績書を奪い取り中身を確認。
「ふざけんなよ、オラ」
普通だったらビビる正洋の威圧感も洋介には通用しない。
「オール10って、お前この3年間で一度でも9とか取ったことあんの?まったくいつ勉強してんだよ、ったくよ」
周りの生徒も笑い声を上げた。
「あるよなあ、2年の2学期現代社会。社会科見学の時に市議会議員さん達をボコボコにした時な。そん時学校としては、お前の行動が正しいと思ってたからいつも通り10にしたら、それが教育委員会に漏れて、1になったんだよな。でもな、俺は今でもお前は正しかったと思ってるぞ。」
成績書の配布が終わり、夏休み期間中の諸注意が言い渡され、解散となるはずだった。
「マー君大変だ。昨日の奴らが、ヤクザつれて門の前で待ち構えてるぞ」
隣のクラスのガリ勉タイプの根が教室に飛び込んできた。
生徒達が一斉に窓から外を見ると、数台の黒塗りの車と明らかに本職の人間が数十人。そして、頭に包帯を巻いた見覚えの顔の奴らが数人。
「正洋は行くなよ」
加瀬が教室を出ようする前に、正洋をはじめとする通称「佐連」に所属する生徒達が教室を出て行った。
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